Hanagi|眠っていた京扇子に、もう一度光を

Hanagiは、日本舞踊家・花伎 稀世花氏が手がける、飾り扇のブランドです。飾り扇とは、日常であおぐためではなく、空間に飾って鑑賞するための扇を指します。
はじまりは、京都の扇工房で長く保管されていた、扇の地紙と竹骨との出会いでした。地紙は絵柄が描かれる和紙の部分、竹骨は扇を支える竹の部材を指します。
使われることなく時の中に埋もれていた素材を前に、花伎氏が感じたのは、単なる古い在庫ではなく、まだ誰かの空間で生きられる美しさでした。飾り扇は、飾られてこそ意味がある。そう感じたことが、Hanagiの原点です。
一枚の扇を、かたちづくるもの
地紙は、扇を開いたときに表面となる和紙の部分です。Hanagiの地紙には、手描きによる絵付けや色付けが施されています。誰が描いたのか、どのような想いで作られたのか、そのすべてが明らかになっているわけではありません。それでも、筆の跡や色の重なりには、人の手で生まれた確かな気配が残っています。
竹骨は、扇を支える竹の部材です。竹は軽く、しなやかで、強度もあるため、細く加工しても形を支えることができます。Hanagiでは、長く保管されていた地紙と竹骨を、状態を見ながら組み合わせることで、ひとつの飾り扇として新たに仕立てています。
仕立てとは、地紙と竹骨を合わせ、飾れる状態の扇へ整える工程です。Hanagiの扇は、完成品のまま長く保管されていたものではなく、注文後に仕立てられます。過去に生まれた手仕事を、そのまま保存するのではなく、今の暮らしの中で飾れるかたちへ整える。そこに、Hanagiならではの役割があります。

Details of chigami and bamboo ribs
日本舞踊家が見立てる、場に残る美
Hanagiという名には、日本舞踊における美しさと所作の感覚が込められています。花のように人の心に残り、静かに場を整える存在でありたいという思いが、その名に重ねられています。
舞台の上で扇は、ただの道具ではありません。手の動き、間、視線、空気の流れを受け止め、場の印象を変えていく存在です。花伎氏が飾り扇に見出したのも、そうした扇が持つ静かな力でした。
華やかでありながら、主張しすぎない。そこに在ることで、空間の空気を変える。Hanagiの飾り扇には、日本舞踊家としての見立てが息づいています。
扇子団地に残されていた、職人の記憶
京都・山科で受け継がれてきた扇の背景
Hanagiの飾り扇に使われている素材は、京都市山科区の工芸町、通称「扇子団地」にある工房で保管されていたものです。扇子団地とは、かつて扇子や仏具などの職人・工房が集まり、生産拠点として形成されてきた一帯の通称です。
花伎氏は20年以上にわたりこの工房と関わりを持ち、実際に現地にも足を運びながら、その背景を確認してきました。店舗を持たず、製作を中心として営まれてきた工房。そこに残されていた素材を、次の持ち主へと繋ぐことが、Hanagiの役割です。
あおぐためではなく、飾るための扇
Hanagiの飾り扇は、日常であおぐための扇ではなく、空間に飾るための扇です。床の間、玄関、店舗、茶室、和の空気を取り入れたい空間に置くことで、その場に静かな華やぎを添えます。
鶴、桜、花車、七福神、龍、風神など、日本の吉祥や季節感を感じさせる意匠が、一点ごとに異なる表情を見せます。同じものを再び作ることができないからこそ、選ぶ行為そのものにも特別な意味が生まれます。

Displayed as a quiet accent in a Japanese-inspired space
海外の住まいであっても、飾り扇は大きな設備を必要としません。壁面や棚、エントランスの一角に置くだけで、日本の季節感や吉祥のモチーフを空間に取り入れることができます。
過去の職人から、次の持ち主へ
文化は、名前や肩書きだけで価値が決まるものではありません。人が出会い、心が動き、受け継がれることで生き続けるものです。
Hanagiは、日本舞踊家としての視点から、使われることなく眠っていた美をもう一度世に届けようとしています。そこにあるのは、古いものをただ保存するという考え方ではなく、今の暮らしの中で生かすという姿勢です。
過去の職人が残した手仕事を、次の持ち主へと繋ぐ。Hanagiの飾り扇は、空間を彩る装飾であると同時に、静かに受け継がれていく日本の美でもあります。

Each fan carries a different expression of Japanese beauty



コメントを書く
このサイトはhCaptchaによって保護されており、hCaptchaプライバシーポリシーおよび利用規約が適用されます。